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Chapter 14 - エピソード2:悲しみの子、新田一俊

雪は降り止まなかった.ループ・リーパは何日も街をさまよい,イシュン・シンダのささやきに耳を澄ませた.街角の隅々,薄暗い路地裏,噂の息吹のすべてに,その子の名が刻まれていた.呪われた子.死をもたらす者.人間なら生き残るべきではないものの生き残り.ループはそれを聞くたびに,森の中で自分を見つめる目――冷たく,傲慢で,傷ついた目――を思い出した.イシュンが「怪物」と吐き捨てた時のことを思い出した.ループだけが憎いからではなく,ループの角に映った自分の姿が憎いからだった.そしてループは探し続けた.己を証明するためでも,戦うためでもない.イシュンの苦しみの中に,彼はこれまで得られなかった答えを見たからだ.雪が深まり,街路が人影を失ったのは,七日目の夜だった.月は青白く膨らんで屋根の上に垂れ下がり,霜に銀色に輝いていた.廃墟となった神社の中庭で,彼は彼を見つけた.一俊は門の下に立っていた.ぼろぼろの紺色の着物が冬の風になびいていた.色褪せた月の紋様が布地にちりばめられていたが,ほとんどは時の流れに擦り切れていた.左腕は低く垂れ下がり,ベルトに括り付けられた短剣が光っていた.刃は小ぶりだが,何度も磨かれたかのように鋭く,彼に残された唯一の相棒だった.一俊は彼を見ると,苦笑いを浮かべた.「それで,俺を狙ってきたのか,角のある怪物め」声は落ち着いていたが,ループはその奥に倦怠感を感じ取った.「言っただろう.お前の同情は要らない」ループは一歩前に出た.息が荒くなり,片方の剣の柄に軽く手を置いた.両手は抜かなかった.片方だけ.彼は,これが殺戮以外の何かであってほしいと願っていた.「お前を哀れむためにここに来たんじゃない」とループは優しく言った.「ただ...理解したいだけなんだ」イシュンの目が鋭くなった.「理解? 何も理解していない.生まれつき憎まれることがどんなことか,知らないのか.どこへ行っても死を背負っていることがどんなことか,知らないのか!」ループの喉が締め付けられた.「分かっている」頭の角を撫でた.「毎日,そう生きてきたんだ」しかし,その言葉はイシュンの怒りを和らげることはなく,むしろ鋭くした.金属的な囁きとともに短剣がストラップから外れ,彼はそれを月光の中に掲げた.「ならば,本当に理解しているなら」とイシュンは唸り声を上げた.「その刃で証明しろ」雪は灰のように舞い上がり,神社の鳥居の下で二人の子供が向き合った.二人とも七歳にも満たないが,それぞれ人生の重荷を背負っていた.そして戦いが始まった.一俊が先に動いた.左腕から短剣が閃き,その体格には到底及ばない速さで切り裂いた.ルプは身をよじり,刃が着物をかすめた.二刀流の片方を抜いた――鋼鉄が月光に赤く輝いていた――そして受け流した.その激突音は,誰もいない神社に響き渡った.あの音は間違っていた.子供たちはここで雪遊びをして笑っているべきだった.しかし,夜は鋼鉄の擦れる音と息づかいで満たされていた.一俊は追い詰められた狼のように戦った.一撃一撃は必死で,すべての動きは生き残るために生まれたものだった.彼が回転するたびに着物がはためき,短剣はルプの喉,心臓,そして腹へと何度も突き刺さった.ルプの戦い方は違った.彼の剣には重みがあった.一振りごとに,過去の悲しみ,父の墓の重苦しさ,角の孤独が響いていた.彼は激怒して攻撃するのではなく,抑制して,攻撃は計算され,刃は傷つけるのと同じくらい防御するように角度がつけられていた.鋼と鋼がぶつかり合うと,二人の視線が合った.火花が雪に飛び散り,凍てつく中で瞬く間に消えた.「俺を殺したくないように戦うのか」イシュンは短剣をループの剣に強く押し付けながら,囁いた.「なぜだ?俺が弱いとでも思っているのか?死に耐えられないとでも思っているのか?」ループの腕は衝撃に震えた.「違う.俺を理解してくれるかもしれない唯一の人を失いたくないように戦うんだ.」一瞬,イシュンは動揺した.彼の目は見開かれた――優しさではなく,その言葉に対する怒りで.唸り声とともに体をよじり,肘をルプの腹に叩きつけ,雪の中へと押し返した.短剣がきらめきながら振り下ろされた.ルプは転がり,刃が石に火花を散らした.彼は剣を高く弧を描いて突き上げ,悲しみの共鳴で空気を切り裂いた.巻勝の技が夜空を震わせ,その音は嘆きのように風に運ばれた.一俊はよろめいた.刃自体のせいではなく,その重み――肌に押し付けられるような生々しい悲しみ――に.彼は雪の中に血を吐き出し,雪を通して血を睨みつけた.「悲しみが強さを作るとでも思っているのか?」一俊は唸り声を上げた.「ならば,俺の強さを見せてやる.」彼の短剣は再びかすみ,今度はルプの体ではなく,刃に突き刺さった.鋼鉄が​​鋼鉄にぶつかり,衝撃でルプの腕が震えた.一俊は怒りに顔を歪め,さらに強く押し付けた.「僕もみんな失ったんだ!」彼は叫んだ.「家族も,友達も,もういない!目を閉じるたびに,彼らはそこにいる.血を流し,死にかけている.なのに僕は生きている.彼らが生きていなくても,僕は生きている!僕のことを理解したいのか?だったら,僕と一緒に死んでくれ!」その言葉は,僕の胸を深く突き刺した.短剣の力では到底及ばなかった.ループの剣はかすめた.一瞬,イシュンの中に自分の姿を見た.墓の傍ら,雪の上にひざまずき,胸に硬貨を握りしめる子供.世界に打ちのめされ,知るはずのなかった悲しみを背負わされている二人の子供.しかし,この瞬間を生き残れるのはただ一人だけだった.戦いは激しさを増し,一撃ごとに二人は声に出せない会話を交わした.武器のぶつかり合う音は,二人の孤独,怒り,そして誰かに見られたいという切望を代弁した.雪は血と足跡のキャンバスとなり,一歩一歩が二人の疲労へと引きずり込まれた.ついに,心の奥底から湧き上がる叫び声とともに,ループはイシュンを押し戻した.剣はイシュンの手から短剣を突き刺し,短剣は雪の中に転がり落ちた.中庭は静まり返った.二人の子供は息を切らして立ち尽くし,寒さで息が曇っていた.ループの剣はイシュンの喉元に突きつけられた.弱さではなく,選択の重圧に震えていた.イシュンは目を閉じた.「やれ」と彼は囁いた.「ただ私を憐れんでいるだけではないことを証明しろ.終わらせろ」ループの手が震えた.父の声が記憶にこだました.言葉ではなく,かつて分かち合った温もりとして.ゆっくりと,苦痛に耐えながら,彼は剣を下ろした.「だめだ」と彼は声を詰まらせながら言った.「呪われることの意味を知る唯一の魂を殺すつもりはない」イシュンの目が突然見開かれた.生々しく,言葉にならない何かに燃えていた.彼はよろめきながら後ずさりし,腹を抱えた.憎悪と混乱が顔の中で葛藤していた.何も言わず,彼は踵を返し,雪の中に足跡と血だけを残して夜の闇へと逃げ去った.ループは膝をつき,剣が手から滑り落ちた.雪が彼の周囲に降り積もった.柔らかく,無情な雪だった.父の死以来初めて,彼は涙を流した.自分のためではなく,どんな刃物も切り裂くことのできない深い傷を負いながら逃げてきた少年のために.戦いは終わったが,悲しみは深まるばかりだった.痛みによって繋がれた二人の少年は,再び刃を交える運命にあった.ループスラッシャーの物語は,悲しみ,運命,そして終わりのない時間のループへと,螺旋状に進んでいった.続く...

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