モニターの輝きは、不眠の色をしていた――冷たく、揺るぎなく、無慈悲。 エンシンゲームズ株式会社のデスクで背を丸めて座る吹武秋男(フキタケ・アキオ)の耳には、機械の唸りと、こめかみの奥にある鈍い痛みが混ざり合って響いていた。壁は薄い灰色で、蛍光灯の下の彼の肌と同じ色だった。キーボードの脇には飲みかけのコーヒーが固まって放置され、それは忘れ去られた昼食の記念碑のようだった。 彼は画面を見つめ、瞬きをした。 また一行のコード。またエラーメッセージ。また溜息。 午前2時43分。 このビルの中に閉じ込められずに日の出を見たのがいつだったか、もう思い出せなかった。
周囲では、東京のIT企業特有の「半死半生」の活気が漂っていた。疲れ果てた体があちこちで静かに動き回り、キーを叩く音や靴の擦れる音が響く。正気を保とうとする同僚の機械的な笑い声。エアコンは再生された疲労を吐き出していた。隅で誰かが咳をし、別の誰かがこの一時間で十回目となる「あと五分だけ」という独り言を呟いていた。 秋男は震える指で目を擦った。カーソルが、嘲笑う鼓動のように点滅している。
かつては、これが大好きだった。 人々にインスピレーションを与えるゲームを作ることを夢見ていた。しばらくの間、痛みを忘れさせてくれるような世界。だが32歳になった今、彼の世界はこのキュービクル(仕切り)――忘れ去られた夢想家たちが集う灰色の巣箱の一つの席にまで縮小してしまった。モニターに映る自分の顔は、実年齢よりも老けて見えた。青白く、目が窪み、締め切りのために十年の歳月を切り売りしてきた者の形相だった。
若かりし頃の秋男の記憶が、脳裏をかすめた。14歳、目を輝かせ、薬剤師になって病気を治し人々を助けたいと熱く語っていた自分。両親は笑い、それは子供じみた空想だと切り捨てた。だから彼はそれを「現実性」の下に埋め、代わりにテック業界に入った。ゲームの方が稼ぎがいい。ゲームは安泰だ。 安泰。 その言葉が今、彼を嘲笑った。
「秋男!」 その声がオフィスを切り裂いた。上司の黒部(クロベ)がデスクに向かって踏み込んできた。古びたカフェインと怒りで形成されたような男だ。ネクタイは緩み、目は血走っている。 「パッチの更新はどうなってる? メモリリークは昨夜までに直すはずだろう!」 秋男は生唾を飲み込み、デスクの上の食べかけのコンビニサンドイッチを見ないようにした。 「そ、それはまだデバッグ中で……システムがフリーズし続けていて……」 黒部がモニターを叩いた。「言い訳だ! 二週間もこれにかかっているんだぞ! 会社が寝るために給料を払っていると思っているのか?」 「寝てなんていません」秋男が呟いた。 「なんだと?」 「いえ、なんでもありません」
上司の声が再び上がり、蛍光灯の悪夢の中に響き渡った。「あと三晩ここに泊まろうが知ったことか。この更新は明日公開だ。またクラッシュしたら、お前は終わりだぞ」 そして最後の一刺し――目に見えない痣を残すような言葉が放たれた。 「お前はもう32だ、秋男。代わりなんていくらでもいる。新しいインターンの方がお前より仕事が早いんだよ」 そう言い放つと、黒部は背を向け、他の誰かに指示を飛ばしながらガラス張りのオフィスへと消えていった。
秋男は微動だにせず座っていた。胃がむかつく。思考よりも速く、首筋の鼓動が打ち鳴らされるのを感じた。周囲の誰も、何も言わなかった。ただ気づかないふりをしてタイピングを続けていた。 こんな光景は百回も見てきた。誰かが怒鳴られ、屈辱を味わわされ、辞める気力さえなくなるまで打ちのめされる。東京の企業システムは、一つのことにおいて非常に効率的だった。人間から人間性を絞り出すことだ。
時間は霞み、コードも霞んだ。体はシャットダウンを拒否する機械と化した。 ようやく外で太陽が昇った時も、彼はほとんど気づかなかった。 午前10時になる頃、オフィスは再び活気に満ちた。新しいシフト、新しい締め切り、新しい亡霊たち。秋男の頭はズキズキと痛んだ。彼は五缶目となるコーヒーを買うために自販機へと足を引きずった。味は焼けたプラスチックと後悔のようだった。 金属に映る自分の顔を見つめる。目は血走り、唇は割れ、ネクタイは汚れていた。 これは「生きている」のではない。オートパイロットでの「生存」だ。
そして会議が始まった。 そして「予算削減」の話が出た。 そして封筒が渡された。
儀式も警告もなかった。ただ、白い紙が一枚、音もなくデスクに置かれた。 解雇。
一度読み、二度読み、三度読んだ。 実感が湧かなかった。 誰かが話しかけてきた。人事か、あるいは同情する同僚か。言葉はすべてノイズとなって混ざり合った。視界にあるのは、黒いインクで印字された「解雇」という二文字だけだった。 退職金もなく、謝罪もない。ただ、終わりだった。
彼はゆっくりと荷物をまとめた。古いスケッチ、まだ皆が笑っていた頃のチーム写真、最初のゲームの時に買った小さなドラゴンのフィギュア。頭上でオフィスの明かりが唸っている。誰も彼を見なかった。それが暗黙のルールだった。
外に出る頃には、東京の夕雨が降り始めていた。街の明かりが濡れた路面に滲み、水彩画のようだった。 彼は歩いた。 目的地もなく、ただ歩いた。 渋谷のスクランブル交差点の途中で、風に煽られて傘が壊れた。どうでもよかった。すでにずぶ濡れだった。ポケットの中で通知書がくしゃくしゃになり、もう一方の手は安物のウイスキーのボトルを握りしめていた。
街は動きに溢れていた。電車へ急ぐ労働者、笑い合うカップル、食事と逃避を約束するネオンサイン。そのすべての中を、秋男の足音だけが虚しく響いた。自分が透明人間になったように感じたが、それはむしろ安らぎだった。
彼はラーメン屋の裏路地に辿り着いた。通気口からの湯気が周囲の空気を曇らせていた。壁に寄りかかり、髪から雨を滴らせながら、半分空になったボトルを手に座り込んだ。 「これまでのすべてが……」彼は掠れた声で自問した。「この何年もが……無駄だったのか」 言葉は雨の中に消えていった。
両親のことを思った。連絡が途絶えた友人たちのことを。かつて人を助けることを夢見た「幼い秋男」が、今では自分自身を助けることさえできない、疲れ果てた男に成り果ててしまったことを。胸が締め付けられ、視界がぼやけた。街は遠くで微かに脈打っていたが、彼の存在に気づくことも、気にかけることもなかった。
その時、足音が聞こえた。 静かで、一定で、落ち着いた足音。 水たまりの上に影が伸びた。 秋男は顔を上げた。
そこには一人の人物が立っていた。20代半ばだろうか、黒いスーツに赤い蝶ネクタイを完璧に着こなしている。シワ一つなく、雨に濡れた跡さえない。その人物は、丁寧だが不気味なほど静かに微笑んだ。 「人生に絶望した顔をしていますね」その見知らぬ者は、滑らかで手慣れた声で言った。「その気持ち、分かりますよ」 秋男は弱々しく鼻で笑った。「分かるだと? なら、絶望がうつる前に立ち去るんだな」 相手はひるむことなく、彼の隣にしゃがみ込んだ。「その必要はありません。私は『終わり』を恐れていない。むしろ、楽しんでいるくらいですから」 秋男は目を細めた。「一体、何の用だ?」
答える代わりに、その人物はコートから何かを取り出した。それは、油と雷が混ざり合ったような、ありえない色で煌めく液体が満たされた注射器だった。 秋男は身を硬くした。「それは何だ?」 相手の笑みが、子供のように深まった。「チャンスですよ」 その人物は秋男の名前を呼んだ。フルネームで、完璧な発音で。 「吹武秋男、32歳。プログラマー。今夜18時42分に解雇。家族なし、パートナーなし、将来の予定なし」 秋男の血が凍りついた。「なぜそれを……」 「あなたが選ばれたのです」相手は狂気じみた喜びで目を輝かせ、言葉を遮った。「特別な何かのために。生まれ変わるために」
秋男が動くよりも速く、注射針が彼の首に突き刺さった。 「待て――!」 衝撃的な痛みが体を駆け抜けた。火、電気、そして溺れるような感覚が同時に襲ってきた。体は痙攣し、視界は千の光の破片となって砕け散った。 最後に見たのは、静寂からヒステリックな歓喜へと変わるその人物の表情だった。 「成功だ!」嵐の中、その人物の笑い声が響く。「成功だ!」
そして世界が砕けた。 秋男は心臓が止まるのを感じた。そして、再び動き出した。 彼は後ろ向きに倒れ、重力を失った。雨は消えた。東京の喧騒も消えた。 そして―― 無となった。
再び、14歳
光。 温かく、目がくらむような光がまぶたを貫いた。秋男は呻き声を上げた。喉は乾き、頭は別の人生の二日酔いのようにズキズキと痛む。 ゆっくりと体を起こした。コンクリートや雨、痛みがあると思っていた。だが、そこにあったのは柔らかいシーツと、かすかな洗剤の匂いだった。 彼は瞬きをした。
周囲の部屋は小さく、痛々しいほどに見覚えがあった。色褪せた壁紙、ノートが積み上げられた机、棚にある安物の化学実験セット。壁にはヴィンテージの科学雑誌のポスター。 ここを知っている。 いや。 ここを覚えている。
足をもつれさせながら立ち上がると、床がギシギシと鳴った。彼は鏡の前へと向かった。 鏡に映っていたのは、あの路地裏で倒れた男ではなかった。 子供だった。
滑らかな肌。鋭い目。寝癖のついた、ボサボサの青い髪。 14歳。 彼は再び14歳になっていた。あるいは、それに近い年齢に。 息が止まり、鼓動が激しく打ち鳴らされた。 「なんてことだ……一体どうなってる……」 彼は自分の顔、腕、鼻を掴んだ。体が軽い。健康だ。凝りも、痛みも、疲労もない。積み重ねてきた歳月の重みが消えていた。 秋男は頭を抱え、ベッドに倒れ込んだ。
あの見知らぬ男。注射器。光。 「成功したんだ」彼は囁いた。 笑うべきか、叫ぶべきか分からなかった。なぜなら、自分は子供の年齢にまで退行してしまったのだから。
記憶が奔流となって押し寄せた。かつての仕事、失敗、屈辱的な会議の数々、無視してきたすべての夢。それらが、学校の記憶、何年も話していない友人の記憶、そして医学や化学への夢と絡み合った。
不思議な静けさが心に宿った。 これは罰ではないのかもしれない。罠でもないのかもしれない。 これは……二度目のチャンスなのだ。
彼は再び自分の手を見つめた。小さく、傷もなく、何でもできる手。 窓の外の世界は、今や違って見えた。灰色で命のない世界ではなく、まだ無駄にされていない人生のエネルギーで輝き、脈打っている。
彼は古い机に向かい、埃を払って子供時代の化学実験セットを手に取った。鼓動が速まる。あの頃、どれほど医学に魅了されていたかを思い出した。架空の病気の治療薬を作るふりをして、害のない粉末を混ぜ合わせていた日々。そして、彼の目には(そして他の誰かの目にも)史上最高の薬剤師だった祖父のこと。 彼はかすかに微笑んだ。
「薬剤師になる、か……」彼は呟いた。「あんなに望んでいたことは、間違いじゃなかったんだな」 その思考は、彼が何年も感じていなかった「目的」という感覚で満たされた。 再び鏡を見る。若い体に閉じ込められた老いた魂。 「今度は」彼は静かに言った。「無駄にはしない」
ドアの脇にある古い通学カバンを掴み、ノートを詰め込んで肩にかけた。本来ならもっと年上のはずの「現在」の学校に編入する準備を整えながら、過去へのタイムスリップだったらよかったのに、と少しだけ思いつつ。
外の朝の光は鋭く黄金色に輝き、通りには遠くの笑い声が微かに響いていた。一歩外に踏み出すと、空気はより清らかに感じられた。足取りは確かだった。
彼は今も吹武秋男だ。だが、東京の過重労働という機械に壊されたあの秋男ではない。今の秋男はその痛みの記憶を抱えており、それは彼を縛る鎖ではなく、導く道標となる。 何年かぶりに、彼は「生きている」と実感した。
太陽の光に目を細めながら、彼は空を見上げた。 「よし」彼は不敵な笑みを浮かべて言った。「今度は正しくやり直してやる」 彼の背後でドアが閉まった。
そして、遠く離れた場所で。 蝶ネクタイをした人物が、革表紙のノートに何かを書き込んでいた。 その名は、夜風安手(ヤサフテ・ヤカヌケ)!?……
「被験体 9764:覚醒成功。氏名:吹武秋男」 その人物は微笑んだ。 「さて、君が何になるか見せてもらおうか。私の親愛なる薬剤師さん」
[第2章:学校へ、夢へ戻るへ続く]
